SORA-IRO(そらいろ) 福岡市近郊/久留米・筑後地域 子育てを楽しむ親子のコミュニケーション応援フリーマガジン

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コラム・アイズアイズ

“待つ”ことの大切さ

「条件が一つ、今日は『○○してはダメ!』の言葉は決して使わないでください!」と付き添う親たちにまず伝えて、イベントは始まった。

子どもたちは自由な環境の中、アーティストたちのユニークな発想とエネルギーを吸収しながら、頭から足まで、全身を絵の具で汚してのびのびとワークショップを楽しんでいた。

その中で、一組の親子がそれぞれに絵を描いていた。子どもは、黒い絵の具で画用紙にひたすら「石」を描いている…。子どもに何かを言いたそうにうずうずしていた母親は、ついにあせった様子でアーティストの一人を呼んだ。「この子は黒一色で石しか描かないんです!他の色を使って早く仕上げるように指導してください」と。彼は答えた「そのまま黙って待ってみてください」。

それからどれくらいたっただろうか?その子は自由な時間の中で、山々の風景と自分の絵をじーっと眺めながら、少しずつ違う色を取り出し、石の横に草花を描きだした。

多分に親は、子どもが自分の力で感じるまで待つことができず、つい手を出してしまう。それは『お母さんが思い描いた通りの絵を描きなさい』と言っているようなものだ。大人が横から何も言わずに自由に描いた結果が「石の絵」だったとしても、子ども自身で感じる”過程“が大切だと強く思う。

現代社会では、先へ進むのが先決で、なかなか”待つ“ことができない。こういう時代だからこそ、自然豊かな環境に身を置き、スローな時間とともにこころを解き放つことが、無駄なようだが、実は感性を育てる一番の近道ではないだろうか・・・。

 


著者:尾藤 悦子さん

共星の里クリエイティブディレクター

1961年生まれ。フチガミレコーディングスタジオに勤務し、音楽録音のほか、TVコマーシャル制作に携わる。'80年半ばからファッションデザイン企画やファッションショーのプロデュースを中心に、'01年杷木町50周年喜多郎野外コンサート企画をはじめ、各種イベントの企画・演出を手がける。地域のボランティアにも積極的に参加。2000年から山里の廃校利用の美術館「共星の里」の企画・運営を行い現在に至る。